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世界で一つだけの上履き 

こんばんは、いずきちでございます。
アキレスというシューズメーカーがあるというので検索してみたら、上履きがたくさん出てきました。上履きのメーカーのことを今まで一度も考えたことがなかったので、新たな発見でした。

上履きを見ているうちに思い出しましたが、高校の頃、両方の上履きにものすごい悪口の落書きをされたことがありました。油性のペンでデカデカと「バカ、死ね、クズ、ヤリマン、ブス、」等と書いてありました。私が高校1年の時です。

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朝、学校の下駄箱で上履きに履き替えようとした時に、そのラクガキされた靴とご対面したわけですが、ちょっとびっくりしました。

誰かが私を嫌っている。それはまず間違いない。でもいくら嫌いだからといって普通こんなことするか?と、こういう行動に出る人にびっくりしたのです。自分が誰かに嫌われていることに関しては、別にどうでもいいと心から思っていたので、そのことで傷ついたりはしないのですが、思い当たる人物がいないので、自分の知らないところで誰かに観察されているような気がして気持ちが悪かったです。

それにしても派手なラクガキでした。デカデカと逞しく力強い文字で「バカ、死ね、クズ、ヤリマン、ブス、」と書きなぐられていました。両方の靴に。そしてご丁寧に揃えて私の下駄箱にちゃんとしまってあるのです。その靴の揃え方なんかを考えるとなんとなく可笑しくなりました。こんなことまでするくらい嫌いなら、そろえないで放り投げとけばいいのになぁ…とか思ったりして。

とりあえず、ラクガキされたからといっても上履きに履き替えないと校舎に入れませんから、私はそのままその上履きを履き、教室へと向かいました。派手な上履きに気付いた友人は「どーしたの?」と聞きましたが、私は「朝来たらこうなってた。」としか答えようもなく、友人に心配させるのも悪いと思い、「でも、けっこう気に入ってるから。」と一言付け加えました。

その「気に入ってるから。」は、別に嘘ではなく、見ようによってはロックなデザインに見えるので、これはこれでカッコイイ靴なんじゃないかな?と思ったのです。そう思うとなんだか愛着もわいてきて、私はその靴をそのまま履き続けることにしました。

それでも友人は、サイズを間違えて買ってしまった上靴があるのでと、25.5センチの上靴を私にくれました。25.5センチというと私にはかなり大きすぎますが、友人のその心遣いが嬉しかったので、このロックな上履きを履きつぶしてから25.5センチの上履きを履こうと思いました。

ロックな上履きはかなり目立ちました。ある時、生活指導の先生の目にとまり、呼び止められ、注意を受けたのです。なぜ注意されなければならなかったのかと言うと、上履きにラクガキは禁止だったからです。だれも上履きにラクガキしている生徒はいない学校でした。そんな中のこのロックな上履きですから、一見自分でカッコよくラクガキして履いているように見えてしまうのです。

「先生、これは自分で書いたワケじゃありません。誰かにやられました。でも誰だかわかりませんから、弁償してもらえません。そして親には事情を話したくありません。親には心配をかけたくないのです。親には言わずに自分で上履きを買っても、また同じようにラクガキされてしまったら…お金が続きません。そう思うと新しい上履きを買うのもどうかと思うのです。何度も上履きを買い変えないといけない環境は、私1人の力では乗り切ることができないのです。ですから、私はこのまま上履きを使用することにしました。いいんです。「死ね」って書いてありますけど、私は死にませんから安心して下さい。だからこの上履きを履き続けることを許していただけると助かるのですが…。」

生活指導の先生にそんなことを言うヤな子供でした。でも他人が書いたのは事実だし、誰が書いたのかわからないのも事実だし、こんなので新しい上履き買うのもそれこそアホらしいし、親には面倒だから言いたくないし、死ねって書かれても死ぬわけないし…とわりと事実を述べたまで。気に入っているから履いていたいというのを省いて。

で、今の学校では考えられないかもしれませんが、当時の生活指導の先生は黙りました。先生は答えを出しませんでした。オトナは答えを求められても答えを出さない時がある。まぁ、誰だって面倒なことを抱えたくなんてないんだろう…と黙る先生に、私から「じゃ、そういうことで。」と、軽く会釈をして去りました。去り際の私のニヤついた顔はちょっとだけバレちゃったかもしれませんが、先生はそれ以上私には関わりたくないようで何も言いませんでした。(よくよく考えると私はいろんな先生にものすごく嫌われていましたw)

そして私はロックな上履きを履き続けました。誰も上履きにラクガキしている生徒のいない学校で、1人派手な上履きを履くのがけっこう好きでした。体育館に全校生徒が集まる行事の時も、真っ白な上履きがワサワサと行きかう中、ふと自分の足元を見ると、隙間なくラクガキされたアートな上履きが目に入り楽しくなりました。

だから私は、心底この上履きを楽しんでいたのです。私が嫌いでこんなことをした人には申し訳ないけれど、私はこの上履きを好きになったのです。そして私のそんな姿を、ラクガキした人がどこかで見ていると思うと益々楽しくてたまらないのです。いつまででもこの上履きを履き続けてあげるから、どこかの物陰からこっそりと観察でもしていなさい、と、ラクガキした人のことまで考えたりして、本当にいろいろと楽しい世界に一つだけの私の上履きになりました。

ずいぶん長い間、ロックな上履きを履いていました。が、上履きはある程度汚れたら買い変えなければなりません。ものすごく愛着のある世界で一つだけのMYロック上履きを捨てる時は、なんだか寂しい気持ちになりました。そして私は新しい上履きを買う前に、友人に貰っていた25.5センチの上履きがありますので、まずそちらを履かなくてはいけません。友人の優しさを無駄にするわけにはいかないのです。

ロック上履きからダボダボ上履きへ。
ロッカーからペンギンへ。

25.5センチの上履きの白さが私には眩しすぎる…

そして私は今度はしばらく、足元の不安定なペンギン野郎として過ごしました。ペンギン野郎として学校生活を送りながらも、どこの誰だかわからないけれど、またアートなラクガキをしてくれないかなぁ…といつも思っていました。できれば今度は「バカ」とか「死ね」というありきたりな言葉じゃなくて、「ウンコ野郎」とか、「死ぬれ」とかちょっとひねってくれたらなぁ…と考えていましたが、結局ラクガキはしてもらえませんでした。

自分で書くこともできますが、それではダメなんですよ、カッコ悪いじゃないですか。これは自分じゃなくて他人が書くからアートになるんです。そしてそれを楽しく履き続けるからまた芸術品なんですよ。

と、そんな尋常ではないと人に言われてしまう精神構造な私ですから、ラクガキした人ももう関わり合いたくなかったのかもしれません。(正しいと思う)

思い出の上履き、世界で一つだけのMYロック上履き、あれもアキレスだったのかなぁ…と、今、思うワタクシでした。
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