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衣食住野郎とドテチン 

過去記事リクエストからの復活記事です、
世の中の不思議なカップルに遭遇した時のお話です。

【衣食住野郎とドテチン】

数年前まで、うちは居酒屋でした。居酒屋だったことで、数々の見事で悲惨でカワイソウでマヌケな事件を起こしてきた私ですが、世の中にはおかしな人がたくさんいるのです。今日はうちの居酒屋にきたちょっおかしな、ていうか、もう私のツボをおさえてどうしようもなかったお客さんのお話をしようと思います。( ̄A ̄)

夏、六時頃という時間帯はまだうっすらと明るい夕方の色で、「逢魔ヶ時」と呼べる、特別な時間でした。私はその「逢魔ヶ時」な時間が好きです。なので、ニコニコ笑顔でお客さんを元気に迎え入れるのです。

(●´∀`)「いらっしゃいませぇ~。」

その日、最初にやってきたお客さんは、若い男女のカップルでした。一見、男らしい態度と仕草の体育会系っぽい、まぁブサイクじゃないけど好みでもないや的な青年と、ブスですね。あきらかに君はブスです。残念です。という可愛いところといったらきっと…声?みたいな女の子。

そのカップルは、二人の世界に入るために角のひっそりとした座敷へと腰をおろし、

「生ビール1つと、すいません、ジュース系ってなにあります?あーじゃオレンジで。」

と、青年はまず、飲み物をたのみました。

( ´_ゝ`)普通です。至って普通です。ここまでで私に分かるのは、彼女らしき女の子がものすごいブスということと、青年が「ブス専」であること、くらいです。で、そのブスな女の子が、うーん誰かに似ているなぁ…だれだっけ?と考えさせられましたが、どうも思い浮かばなくてちょっとモヤリモヤリとさせられた…そんなカンジの第一印象でした。これといって興味深くもなんともないわけですから、勝手に二人の世界で楽しくイチャイチャしててくれればいーんでない?こっちはヤキトリでも焼いてますんで…。とクールな私だったのです。

ところが…、(`д´)
この男!私に、腹がよじれるほどの笑いを与える最強野郎だったのです!

そして、この女!(`⌒´)
彼女もまた私に笑いのツボを捉えてはなさないツワモノだったのです!


このカップルは、お酒を呑むというよりも、ご飯を食べに来たのでしょう。「ヤキトリ、かしら、ねぎま、レバーたれで!」「しめじバター」「アラビキウインナー」「おにぎり」と、「あつあげ」も。「野菜サラダ」と「山芋の千切り」も。

と、次々に食べ物をオーダーします。いいことです。うちは居酒屋なんですから、食べ物をたくさんたのんでもらえるのは素晴らしいことです。( ̄∇+ ̄)
私は出来上がったものをせっせと運び(作るのは母)生ビールのオカワリ!開いたお皿をおさげしまーす!おしぼりかしこまりました!と忙しく働きました。

せっせとお皿などを片付けているうちに、このカップルの二人の会話が耳に入ります。そこで仕入れたに情報より、この二人はまだ付き合っていないということが分かりました。しかし、驚くことに、どうやら青年が真性のブス専であり、この女の子にベタボレのようで、女の子の方はというと決してイヤミな態度ではないけれど、「どうしよう…口説かれてもこまっちゃうナ」なカンジだったのです。( ̄A ̄)

(*´○`)はぁ~世の中って面白いなぁ…。女の子はよほど性格がいいか、魅力的な何かをもっているんだろう…。だってあきらかにブスですよ?うーん誰に似てるんだっけなぁ…。まだ思い出せない。男の方はまぁ好青年ってカンジだし、決してモテそうもないとは思えないけどなぁ…。と、まずこのカップルの普通でないところに興味を持ってしまいました。

それから私は、その辺のテーブルを拭いたり、醤油の瓶をチェックして回ったり、飾られている置物の位置を調整したりと、とにかくそのカップルの会話が聞こえるところで、忙しくもないのにカサカサとマメマメしい仕事をしながら会話に耳を傾けておりました。

すると…青年は普通の声より少しトーンを落として、いかにも真剣な話がある的なことをいいました。

おっ…そろそろマジ告白はいるのか?と私は妙にワクワクしてきました。他人の告白シーンなんてそうそう見れるもんじゃないぞ…と、まるでドラマの盛り上がりシーンでも見るかのように期待を寄せて、今か今かと青年の次の言葉を待ちました。(*ёωё*)

青年はゆっくりと話し始めます。


「俺、昨日はかなりの睡眠時間をとったんだ。必要だと思ってね。」


( ゜Д゜)ん?なんじゃコイツ。
何言ってんだ?????と思いましたが、続きがあるようです…。


「ヤキトリ、美味しかったね。腹もいっぱいだ。コレも必要だしな。」


( ̄Д ̄;)ますます意味ワカラン奴だなぁ…。
大事な話じゃないのか?????しかしまだ続きがあるようです…。
そして、突然遠い目をして言いました。


「人間のさぁ、三大欲求って知ってる?……」


(*`ー´)ははぁ…分かったぞ!
この男は「三大欲求」のお話から、彼女を口説こうとしているのか。
それにしてもまわりくどい。私だったら耐えられない。「三大欲求」であと足りていないのは、もちろん「性欲」。君が好きなんだ!君が欲しいんだ!とか言われたらたぶん張り倒すね。とか、思っていたので、青年の次の言葉にものすごく驚きました。


「人間の三大欲求……それはね、衣食住!」


∑('□'*('□'*('□'*('□'*)
はぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ???????

衣食住って、衣食住って、衣食住って?!?!?!?!?


私が軽く脳内パニックを起こしている事も知らず、青年は話し続けます。


「まず衣食住の、衣。これは……こ、これはね、これは…そう、着ることだ。着ることの欲求だ。誰だって服を着たい。ハハ。人間服を着てなかったらダメだ。裸じゃダメだ。ハハハ。俺たちは服を着ている。フッ…服を着る欲求は満たされてるわけだ。」


(`・д´・ )………どうも様子がおかしい。
青年の様子があきらかにオカシイ…。しかも「衣」とかってさ、着るのは三大欲求じゃねーし。…コイツ間違えたな?…間違えたんだ!ヾ( ̄▽)ゞ
人間の三大欲求である「食欲、睡眠欲、性欲」と、人間の生活の基本的な要件である「衣食住」を!
大きな間違いをおかしてしまった上に、どうにかしようと今奮闘しているんだ!
そう思ったら、沸々と笑いがこみ上げてきてしまいました。そして、この後の展開をどんなふうに持っていくのかが興味深すぎるっ!しかし、ここで私が笑ってしまってはイケナイ。耐えるんだ…。おかしくても耐えるんだ…!私が一生懸命笑いをこらえていると、青年は真面目な声で、


「次はね、食!食欲!たった今満たされたこの食欲!よかったよ…。美味しいものを食べる。一緒にいて楽しい人と食欲を満たせるなんて幸せなことだ。食欲がなかったら大変なことになるよ。うーん、死んじゃうね。」

お、面白い…面白すぎる…ヤバイ、もうダメかも…。死んじゃうねって、ねって…食欲ないと即死ぬんか…間違いじゃないケドさ…。と私はもうこの時点で死にそうでした。でも青年はまだまだ続けるのです。


「それから衣食住の住!」


ぶふぅっーつつつつ。ぶっぶふぶふぶくぶくぶく…。
きた!ついにきた。「住」…もうこれを言ったところでMAXまで笑いをこらえていたのですが、やはり耐えきれずに吹き出してしまいました…。
ヤバイ…。ヽ(´Д`;≡;´Д`)丿
そう思った私はそそくさとカウンターに逃げ込みましたが、その後の話だけは絶対に聞きたい!衣食住の「住」までいってそのあとどーすんだ?!聞き逃すわけにはいかない!
私はこそこそとカップルの座敷のとなりの座敷スペースにこっそり入り込み、絶対に音を立てないように、口をおさえて息を潜めていることにしました。


「衣食住の住は、住むってことで、住居だね。今住んでるところはアパートだけど、いやぁ住むところがあるっていいね。住みたいっていう欲求が今のアパートを俺に借りさせてるわけだけど、この欲がなかったら大変だよ。住む欲求がなければどこにも住まないワケだからね。」


私はこの時点で静かに静かに、口を抑えながら隣の座敷スペースで転げまわっていました。涙を流しながら…。腹がよじれてケイレンを起こしているようになりつつも、声を出さずに耐えます。耐えるしかないのです。死にそうです。本当に息もできないくらい苦しくなってきて、のたうちまわりました。はぁはぁ苦しい…苦しい…住む欲求がなければ人間はどこにも住まない…とか…どうしよう。正しいけどおかしすぎる…くっ苦しい…。

のたうちまわりながらも、ふと、そんな青年の話を聞いているブスの女の子のことが気になりました。彼女は大丈夫なのだろうか…。彼女の声は先程から全く聞こえないけれども彼女はこの話をどんな顔をして聞いているんだ?と、そんなことを思っていると彼女の声が聞こえてきました。


「そうなんだぁ~。衣食住ってなんか聞いたことあると思ったら、三大欲求かぁ。」


ぶふぅっーつつつつ。
ヽ(´Д`;≡;´Д`)丿ヤバイ。また吹き出してしまった。イカンイカン。逃げなくちゃ…と思ったらとなりの座敷の青年、衣食住野郎がひょいと私のいるスペースを覗き込むではありませんかっ!!!
ヤバイ!!どうしよう!!!慌てた私はどうにかその場を取り繕うために、後ろの棚に飾られている骨董品のようなものを取り出して、たった今吹き出してしまった音と同じような音をたてて、

ぶふぅっーつつつつ、ぶふぅっーつつつつ…とつばを吹きかけながら一心不乱に骨董品のような小さなツボを磨きだしました。これも素晴らしくおかしな光景ではありますがもうこうするしかなかったのですとしか言いようがありません…。

そんな私を見ても別に顔色を変えるわけでもなく、衣食住野郎はすぐに顔を引っ込めました。良かった…気づかれてない…。


今の時点で、衣食住に置き換えられてしまった「三大欲求」はとりあえず全部説明し終わってしまったわけですが、これからどうやって「性欲」に結びつけるんだろう。それを聞くまでは私はここをどくわけにはいかないんだ!固い決意とともに、これからの込み上げてくる笑いをこらえる覚悟を決めた時でした。

「すいませーん。ビールひとつ。」

と衣食住野郎がいいました。私はすぐに返事をして、生ビールを取りに行き、衣食住野郎のテーブルへ運びます。その時、テーブルにいる女の子の顔を見て、突然私の頭の中で「衣食住」というキーワードと先程から思い出せない事柄、女の子が誰かに似ている…という件がカチッとはまって、思い出したんです。

そうだ!「ドテチン」だ。
「はじめ人間ギャートルズ」に出てくるドテチンにそっくりだ。

2011-10-22-01.jpg
ドテチン


ヤバイ!また笑いが込み上げてくるっ!
一刻も早くここを立ち去ろう。裏に行って十分に笑い転げてからまた来よう。
そう思って立ち去ろうとした時です。

「あっすいません。注文いいですか?」

と、今まで衣食住野郎に注文を任せていたドテチンが、私を呼び止めやがったのです。
よりによって今か!ドテチンめ。嗚呼どうしよう。でも仕方ないです。ドテチンの注文を聞くしかありません。今は何を聞いても笑ってしまう可能性があります。
ドテチンよ、どうか無難な注文をしてください。可愛らしく「ポテト下さい。」と言って下さい。間違っても「骨付き肉」とかやめて下さい。などと思っていたら、彼女はこう言いました。

(゚⊿゚)ノ「馬刺し下さい。」

(;≧皿≦)!!!これは予想外。馬かよ!さすがドテチンだ。面白い!込み上げてくる笑いを必死にこらえようとしているため、私の対応はどことなく変でした。声を出したら笑いに変わると思い、ほとんど返事もろくにしないでうなずいただけでスタコラサッサとカウンターへ逃げ帰りました。

とりあえず裏に直行して思う存分笑い転げました。衣食住を三大欲求にしてしまった青年とドテチンにそっくりな女の子がこれからどんなドラマを繰り広げるんだ!?しかも馬刺し食いながら…!もうなんだかワケの分からないツボをガツンガツンと刺激され、おかしくておかしくて仕方がなかった…。そしてどうにか落ち着きを取り戻してから、衣食住野郎とドテチンのもとへ向かう途中、「あ、馬刺しね。」と母に注文を言い、馬刺しが出来上がるのを待って、出来上がった馬刺しをテーブルに運びました。この間に何があったのかは分かりませんが、どうやら衣食住野郎はドテチンを落とすことに成功したらしいのです。先程まで一生懸命三大欲求の衣食住を語っていた青年はとドテチンはなんだか急にいいムードに…。

チクショーツマラン…。まぁ酔っぱらいとはこんなもんだ。でもドテチンはシラフなのにすごいなぁ。それにあの話を聞いてなんのツッコミも入れないなんて、オマエは悟りを開いてんのか?とこっちがツッコミたくなりました。

私が彼女の立場だったら、衣食住野郎はきっと立ち上げれないくらいのツッコミの嵐に傷つき、ボロボロになって廃人となってしまうことでしょう。頭が悪くても優しいドテチンだったからこそきっとこんなふうにいいムードでまとまるのでしょう。うんうんスバラシイ。それにしてもドテチンよ…、衣食住を三大欲求かぁ~とかって納得するんじゃねー!とやっぱりツッコミたい気持ちが勝る私なのでした。

衣食住野郎…女の子を落とすのにこんな小賢しいマネをするというのも身の毛のよだつお話だが、間違えちゃダメだろ。しかも「衣食住」って…。苦しすぎる…。話し始める時に妙にカッコつけたりするから、こんなことに…。それでも「衣食住」を語り続けたこの青年は男だなぁ…と思うワタクシでした。

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